心電図
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加算平均心電図の正常値に関する検討―周波数解析法について―
中里 祐二中田 八洲郎岩 亨小林 正江波戸 美緒真島 三郎諸江 一男広木 忠行
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キーワード: 加算平均心電図, 正常値
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1996 年 16 巻 6 号 p. 715-722

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抄録

加算平均心電図における周波数解析法 (FFT) の正常値を検討する目的で, 健常成人200名 (男女各100名, 平均年齢30歳および27歳) を対象に, 加算平均心電図を記録後FFTを施行した.FFTは120ms幅のBlackman-Harris windowを用い, 開始点はQRS終点より20ms内側とし, arearatio (AR=20-50Hz/10-50Hz×103) を算出した.X, Y, Zの各誘導およびその平均より求めたARは正規分布を示さず, 対数変換により正規化された.ARはいずれの誘導においても, 男性より女性で有意に大であった.身長, 体重, 体表面積, 年齢は男性群が有意に大であった.対象全例ではこれらの体格指標とZ誘導を除く各誘導とAR間には負の相関を認めたが, 男女別ではこれを認めなかった.年齢とARにはいずれの誘導でも相関は認めなかった.FFTにおけるARの正常値設定に際しては, 性差が認められることに留意するのみならず, その要因となる因子を明らかにする必要性が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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