心電図
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Lorenz-Plot法を用いた心房細動例における房室結節伝導性の評価
鈴木 喜之赤石 誠吉川 勉三田村 秀雄小川 聡
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1996 年 16 巻 6 号 p. 723-732

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抄録

慢性心房細動患者のホルター心電図記録をLorenz-plot法によって表示すると, その分布の下限から機能的不応期を視覚的に認識することが可能である.この分布の下限を最小連結時間直線と定義し, 傾きとY軸切片の変化から日常生活下の房室伝導の変化をとらえ, その意義を明らかにすることを目的とした.最小連結時間直線は全例で右上がりの直線となり, 夜間, 上方に偏位し, 傾きが緩やかになった.これは, 迷走神経の緊張によって, 房室結節の機能的不応期が単に延長しただけでなく, 先行RR間隔の変動による不応期の変化度 (facilitationの程度) が低下したことを示している.最小連結時間直線は, 非観血的に房室結節の伝導性を知り得るだけでなく, facilitctionの程度から自律神経活動の評価が可能であることが示唆されたが, 薬剤や基礎疾患による影響の様式は明らかでなく, 個体間の比較においては検討の余地があると考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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