心電図
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心室筋局所再分極時間の刺激部位による変化―イヌ生体位心での単相性活動電位による検討
古川 佳子宮崎 利久三好 俊一郎森谷 和徳麻薙 美香三田村 秀雄小川 聡
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1996 年 16 巻 6 号 p. 753-761

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抄録

刺激部位による心室筋局所再分極時間の相違とそのメ力ニズムを単相性活動電位 (MAP) を用いて検討した.麻酔開胸犬の心房・左室心外膜面に一定周期の電気刺激を連続的に3-5秒間ずつ行った.MAPの90%再分極時間 (APD90) および同記録部の局所心筋長 (拡張末期長: EDL) を超音波変位計により計測した.MAP近傍 (1Gm以内) の心室刺激時APD90は心房刺激時に比して有意に延長したが (205±7.2vs.191±7.5msec, n=10, p<0.01) , 遠隔部 (50m) からの刺激では延長効果は消失した (195±8.4msec) .心室刺激によりAPD90が延長した際EDLは変化せず, 局所心筋長の変化によるAPD90の変化, すなわちcontraction-excitation feedbaokの関与は否定的であった.またMAP記録部近傍の左右両側からの同時刺激ではAPD90の延長は認められなかった.以上, 生体位心の心室筋局所再分極時間が刺激部位によって変化することが示され, 近傍の心室刺激による延長は‘下流’からの電気緊張的影響によることが示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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