心室頻拍症例の予後と, それに影響を及ぼす因子を心臓死との関連において検討した.1990年4月から1993年3月までに診療所等にて実施され, スズケン医療機器ホルター心電図解析センターにて判読した31, 789例のホルター心電図記録のうちnon-sustained ventricular tachycardia (NSVT) を認めた1, 109症例 (男: 684, 女: 425) について予後調査を行った.NSVTは女性より男性の方が多く, また年齢にともなってNSVTの発生率が高くなった.NSVTを認めた群は認めない群に比較して心房細動の合併が有意に高率であり, 更にNSVTを認めた群のうち心房細動を合併したものは心臓死が有意に多かった.NSVT症例において, 心臓死群では生存群に比較して, 頻発性や多源性の心室性期外収縮, あるいは, ST-T異常を認めるものの頻度が有意に大であった.更にNSVTがあり心疾患により死亡した26例中, ホルター心電図記録中の心臓突然死2症例について心拍変動スペクトル解析を行ったところ, 心停止の1時間前も6時間前も, 高周波成分の減弱または消失が認められた.