心電図
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長時間心電図を用いて心室頻拍例の突然死をどこまで予測しうるか
武田 寛人大和田 憲司上遠野 栄一鉄地川原 正顕粟野 直行丸山 幸夫
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1997 年 17 巻 3 号 p. 274-283

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抄録

心室頻拍を有する洞調律の151例を対象に長時間心電図を用いて突然死に関する予後について検討した.対象を突然死14例とその他の137例に群別し, 心室性不整脈, 心拍変動の各指標をそれぞれで比較し, 突然死予知について有用と思われた指標を用いて, 突然死に関しての生存分析を施行した.Kaplan-Meier法による突然死発生率は最大呼吸性心拍変動 (max.RHRV) が10msec以下 (p=0.00005) , 心室性期外収縮 (VPC) 数1, 000個/日以上 (p=0.0017) , 左室駆出率 (LVEF) が40%未満 (p<0.00001) の群が高く, 年齢, NYHA, LVEF, 1群抗不整脈薬の有無により, 補正した比例八ザード解析による突然死の相対危険率はmax.RHRV≦10msecが5.13 (χ2=6.31) , VPO数≧1, 000/日は4.61 (χ2=3.69) であった.Holter心電図施行後2年以内における突然死発生に関する感度, 特異度, 陽性的中率はmax.RHRV≦10msecが72.7%, 80.7%, 22.9%で, VPO数≧1, 000/日が90.9%, 55.7%, 13.9%であった.LVEF<40%, VPO数≧1, 000/日, max.RHRV≦10msecの三者の組み合わせでは感度63.6%, 特異度97.1%で, 陽性的中率は63.6%であった.心機能低下を伴い, 心室性不整脈が多発し, さらに呼吸性心拍変動が終日低下している心室頻拍例では, 高率に突然死の発生することが示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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