心電図
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糖尿病ラットの心筋細胞におけるCa2+代謝と細胞収縮の異常
林 秀晴野田 直久加藤 秀樹佐藤 洋寺田 肇山崎 昇
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1997 年 17 巻 4 号 p. 342-347

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抄録

streptozotocin (45mg/kg) 静注8週後の糖尿病 (DM) ラットの心室筋細胞を用いて, [Ca2+] iと細胞収縮の異常に関する検討をした.蛍光色素のfura-2により測定した静止細胞の [Ca2+] iは, DM群では53±3 (平均±SE) nMと, 対照群の75±5nMに比し有意に低値だった (p<0.01) .また, SBFIにより測定したDM群の [Na+] iは, 対照群に比し有意に低値だったが, Na+/H+交換の阻害剤であるhexamethylene amiloride (1μM) を灌流後には, 両群間で差を認めなかった.また, indo-1により測定したOa2+transientの拡張期とPeak値, および細胞周囲径の変化は, DMで低値だった (p<0.05) .DMラットの [Ca2+] i低値の機序として, Na+/H+交換活1生の低下による [Na+] i低値に基づく可能性が示唆された.また, Ca2+transientのpeak値の低下は, 筋小胞体から放出されるOa2+の減少による可能性が考えられる.以上より, 糖尿病性心筋症の発症および収縮力低下におけるCa2+代謝異常の関与が示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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