心電図
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糖尿病患者の心合併症評価と心電図異常, 特に突然死の成因へのアプローチ
紀田 康雄柏木 厚典
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1997 年 17 巻 4 号 p. 367-373

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抄録

糖尿病患者には突然死する症例がしばしば見受けられ自律神経障害との関連が示唆されてきた.しかし, 死因の明らかであった症例では心筋虚血に関連した死亡が多い.半数以上は院外で急変しているため, これら突然死の成因は明らかにはされていない.多分, 自律神経障害にともなう心・呼吸停止や不整脈, 重篤な低血糖によるもの等が含まれる可能性はある.突然死が糖尿病に多い背景には高血糖以外にも様々な冠危険因子を重複し易い事, 細小血管障害や心筋症, 自律神経障害, 組織の代謝障害など糖尿病特有の病態を伴う事が挙げられる.長期間高血糖が続き, 壊疽, 腎不全, 増殖網膜症, 起立性低血圧など晩期合併症を有する例が八イリスク群と言えよう.従って, 対策には早期から血糖の良好なコントロールを継続できるような専門医による指導体制と各種合併症の定期的な評価, 予防と治療法の確立が急務である.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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