心電図
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房室結節の自動能変調仮説と興奮伝導仮説の問題
渡部 良夫
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1998 年 18 巻 2 号 p. 154-161

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抄録

房室結節が伝導能をもたず, その自動能が心房筋の脱分極による電気緊張性変調を受けることで心房興奮に同期した刺激生成を行い, 心室の興奮を導くというMeijlerらの自動能変調仮説と, 古典的な房室結節伝導の概念 (興奮伝導仮説) とを比較検討した.即ち1) 結節内伝導の実験的証拠が不十分と見られること, 2) 大動物と小動物の房室間隔を比較した場合に, 前者が心臓の大きさの増大に比例した延長を示さないこと, 3) 心房細動時に右室ペーシングを行うと, 刺激周期よりも短いR-R間隔の多くも消失するのが見られ, これは興奮伝導仮説では説明し難いことという前者の3つの論拠のそれぞれに批判を加え, これと現在知られている理論的, 実験的ならびに臨床的データを総合した結果, 我々は興奮伝導仮説を支持すべきであろうと考える.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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