心電図
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前方・後方インプットは各々速・遅伝導路に相応するのか?
川良 徳弘笠井 宏委川端 美穂子佐藤 正鈴木 文男比江嶋 一昌
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1998 年 18 巻 2 号 p. 162-171

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抄録

房室結節前方・後方経路の伝導速度はそれぞれ本当に速い・遅いのであろうか.雑種成犬14頭で, 前方心房中隔 (AS) および後方分界稜 (CT) 頻回刺激からHis束までの伝導時間 (AS-SH時間, OT-SH時間) を比較した.最低頻度刺激ではAS-SH時間が短く (75±8ms vs 82±6ms, p<0.01) , 最高頻度刺激ではCT-SH時間が短かった (133±11ms vs 125±12ms, p<0.01) .His束までの全伝導距離はA$刺激で短く (13.2±3.6mm vs 26.9±5.6mm, p<0.001) , 心房筋と房室結節を含む全平均伝導速度はCT刺激で速かった.全伝導距離が長いほど全平均伝導速度は速くなり, その関係は刺激部位に依らなかった.14頭中8頭で, CT刺激部位一冠静脈洞開口部間CT冷却 (-0.5±3.7℃) の影響をみた.Wenokebaohブロック周期長 (WBOL) はAS, CT刺激ともにわずかに延長したが (198±18ms vs 211±22ms, p<0.05; 198±18ms vs210±19ms, p<0.05) , 最高頻度でのSH時間はCT刺激でのみ延長した (131±10ms vs130±10ms, p>0.05; 124±12ms vs133±13ms, p<0.05) .房室結節にむかう主なインパルスに大きな迂回はないと想像され, 房室結節後方経路の伝導速度は, 前方経路の伝導速度に比べ遅くないことが示唆された.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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