1998 年 18 巻 2 号 p. 190-194
洞不全症候群を除く50症例を, 一過性心房細動 (一過性af) の誘発ができない20例と誘発のできる14例, 及び, 1ヵ月以上持続した慢性afに対して電気的除細動を施行した16例に分類し, 心房筋再分極の指標 (右房有効不応期ERP, 右房単相性活動電位持続時間MAP口90) , 伝導遅延の指標 (右房内局所最大伝導遅延率%CD) , wavelengthの指標 (MAPD90/%CD, ERP/%CD) , 右心房容積の指標 (心臓超音波検査による右房心内膜トレース/体表面積) を, それぞれ計測した.この結果, 一過性afの誘発には再分極相の短縮とそれによるwavelengthの短縮が関与し, 慢性afでは再分極相の短縮に加え, 増強した伝導遅延によりwavelengthはさらに短縮していた.また, 心房が拡大するとwavelengthは短縮した.この様に, ヒト心房筋において再分極相の短縮, 伝導遅延, 心房拡大はいずれもwavelengthを短縮し, afを発生, 持続させ易くすると考えられた.