抄録
症例は, 65歳男性.広範前壁梗塞発症後20年を経過して発症した持続性心室頻拍 (VT) のために, 当院に入院となった.VTは薬剤抵抗性であったため, 心臓電気生理学的検査 (EPS) および高周波力テーテル・アブレーション治療 (RFCA) を施行した.左室造影では, 前壁から心尖部にかけて瘤形成が認められた.右室心尖部からのプログラム刺激により, 右脚プロック下方軸型のclinical VTが誘発された.経大腿動脈的にバスケット型多極カテーテル (MBC) を左室内に挿入し, VT中の心内双極電位を記録した.心室瘤と非梗塞部との境界である左室前壁~前壁基部において, 前収縮期電位が記録された.同部位近傍のマツピングにて, 容易に至適通電部位が判明し, VTのRFCAに成功した.MBCは, 心筋梗塞後の心室瘤を伴うVT症例においても, 安全に使用可能であった.MBCを用いることで, 至適通電部位決定に要するマツピング時間を短縮でき, VTのRFCAにおけるMBCの有用性が示唆された.