2002 年 22 巻 3 号 p. 175-181
虚血性心疾患患者において徐放性ニフェジピンの自律神経活動に及ぼす影響を起立負荷試験を用いて検討した.徐放性ニフエジピン服用時, 安静仰臥位でRR間隔, 収縮期血圧が有意に低下し, ノルエピネフリンは安静仰臥位および起立負荷時で有意に増加したことより交感神経活動の亢進が示唆された.しかし, 心拍変動, 圧受容体感受性で有意差はなく, 交感神経活動の亢進はみられるもののその程度は小さいと考えられた.一方, β遮断薬アテノロール併用によりRR間隔, 高周波成分パワー, 圧受容体感受性は安静仰臥位および起立負荷時で有意に増加し, 迷走神経活動の亢進がみられた.これらの結果より, 徐放性ニフエジピンの自律神経活動におよぼす影響は小さいと考えられた.また, 心筋梗塞後の心臓突然死の予防効果のひとつと考えられる迷走神経活動の亢進が得られたβ遮断薬併用は, 望ましい効果があると思われた.