抄録
12誘導心電図における持続性単形性心室頻拍の診断は, wide QRS頻拍から, 変行伝導を伴う, あるいは副伝導路を伝導する上室性頻拍を鑑別することによりなされる.房室解離があれば心室頻拍と診断できるが, 不明瞭なときはQRS波形から鑑別する.その際, V1誘導の形状から, 右脚ブロック型, 左脚プロック型にわけ, そのV1やV6の形状から鑑別する方法が一般的である.その他, 北西軸の電気軸, 左脚プロック+右軸偏位, 胸部誘導におけるQRS波形のconcordanceがみられる場合や, 胸部誘導のすべてでR (r) S型QRSがない所見なども心室頻拍を疑わせる.薬剤を用いる鑑別法もあるが, ベラパミルは心室頻拍例や副伝導路例の血行動態を悪化させるため禁忌である.ATPの急速静注が役に立つこともあるが, 副伝導路が疑われる例には控えた方がよい.また, 身体所見, 病歴や内服抗不整脈薬の内容の聴取も診断に役立つことを忘れてはならない.