物理探査
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ケーススタディ
横ずれ断層における各種物理探査の適用可能性の検討(その2;S波極浅層反射法探査および比抵抗2次元探査)―郷村断層帯および山田断層帯における事例―
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2022 年 75 巻 p. 1-20

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抄録

 横ずれ活断層に対して深度100m以浅を対象としたS波極浅層反射法探査および比抵抗2次元探査を適用した。調査対象とした断層は1927年の北丹後地震の際に地震断層が生じた郷村断層帯と山田断層帯である。比抵抗2次元探査の解釈に利用するために,調査地周辺の露頭で比抵抗を測定した。その結果花崗岩の新鮮部,風化部と破砕部や粘土化した箇所との間には,10倍程度の比抵抗値の違いがあることを確認した。郷村断層帯の調査地では,S波極浅層反射法探査を適用した結果,反射断面による反射面群の不連続と傾斜がボーリング調査とトレンチ調査から推定した活断層の位置と変位センスに対応することが確認できた。また,比抵抗2次元探査を適用した結果,地表の活断層トレース付近に地下深部から浅部に連続する低比抵抗帯が認められた。この低比抵抗帯は断層運動に伴う岩盤の破砕帯に地下水が入り込んだ状態を示唆するものと考えた。山田断層帯における調査地でも,郷村断層帯の調査地と同様に,S波極浅層反射法探査による反射断面において,活断層位置と変位センスに対応する反射面群の傾斜と不連続が認められ,さらに比抵抗2次元探査による比抵抗断面において,地表の活断層トレース付近に地下深部から浅部に連続する低比抵抗帯が認められた。その低比抵抗帯はCSAMT探査結果との対比により,深度300m以深まで連続することが確認できた。また,断層露頭の走向と山田断層帯の走向から活断層の地表トレースがステップしている状況が推定される地点で,比抵抗2次元探査を複数の測線で実施した。その結果,地下の低比抵抗帯がほぼ直線状に分布することを確認し,地表と地下で活断層の分布が異なる可能性を示すことができた。

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© 2022 社団法人 物理探査学会
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