心電図
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II. 緩徐解離型Na+チャネル遮断薬の臨床的特徴と適応
1. プロパフェノン
加藤 貴雄
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2003 年 23 巻 1 号 p. 11-18

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抄録
プロパフェノンは, Na+チャネル遮断によるV max抑制を主作用として抗不整脈作用を発揮する.活動電位持続時間に対する作用は実験条件によって異なり, チャネルとの結合解離速度が中等度である点, 活性化状態, 不活性化状態ともに親和性を有する点など, 他のIc群薬と性質を異にする.β遮断作用, Ca拮抗作用を有するのも大きな特徴である.
我が国では1989年以来, 経口薬が広く頻脈性不整脈に対して用いられている.高齢者など潜在性の心機能, 伝導機能低下例でのブロック誘発, 心不全の悪化に注意が必要である.ほとんど肝臓で代謝されるので, 肝機能障害例での血中濃度上昇に留意する.
β遮断作用を有することが大きなメリットで, 交感神経緊張が関連する不整脈や左脚ブロック右軸偏位型特発性心室頻拍に有効性が期待される.デメリットとしては, 陰性変力作用や伝導抑制作用があげられるが, 他の2剤に比して特に強いというわけではない.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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