心電図
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II. 緩徐解離型Na+チャネル遮断薬の臨床的特徴と適応
3. ピルジカイニド
井上 博
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2003 年 23 巻 1 号 p. 26-34

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抄録
ピルジカイニドはリドカインの誘導体として我が国で開発されたVaughan Williams分類Ic群に属する抗不整脈薬であり, Na+チャネル以外のチャネルや受容体には臨床上は明らかな作用を有しない.薬理作用は他のIc群薬と同様で, 心房性, 心室性のいずれの不整脈にも有効である.他のIc群薬と比べると, 薬物動態が線形であり, 排泄がもっぱら腎臓を介して行われ, 最高血中濃度に達する時間が短いという特徴がある.このため使用しやすい反面, 高齢者や腎機能低下例では投与量を調節する必要がある.催不整脈作用や陰性変力作用のため器質的心疾患合併例や心機能低下例には他のIC群薬と同様に使用しにくい.心室性不整脈にも効果が期待できるが, 上記の理由により第1選択薬としては使用を控える方が安全である.副作用の発現頻度は他のIc群薬より少なく, Na+チャネル以外に薬理作用がほとんどないため, もっぱら心臓に関した副作用がみられる.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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