心電図
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先天性QT延長症候群の遺伝子型の推定と非浸透例の検出
清水 渉野田 崇田邊 康子高木 洋里見 和浩須山 和弘栗田 隆志相原 直彦鎌倉 史郎
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2003 年 23 巻 2 号 p. 141-146

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抄録

先天性QT延長症候群 (LQTS) の遺伝子型の推定と, 非浸透患者の検出におけるEpinephrine (Epi) 負荷試験の有用性を検討した.【検討1】LQT1患者12例, LQT2患者10例, LQT3患者6例, 対照群13例を対象とし, Epi0.1μg/kgのボーラス静注+0.1μg/kg/分の持続点滴を施行した.LQT1とLQT2では, 心拍数上昇に一致してQTcが著明に延長したが, 定常状態においてはLQT1ではQTc延長が持続したのに対して, LQT2ではコントロール時付近まで短縮した.LQT3では, 心拍数上昇時のQTc延長はLQT1, LQT2に比べて軽度で, 定常状態ではコントロール時以下に短縮した.【検討2】LQT1の11家系 (46例) , 対照群15例に, 同様のEpi負荷を行った.LQT1群は, 安静時QTc≧460msecのmutation carrier19例 (I群) , QTc<460msecのmutation carrier15例 (II群) , nonmutation carrier12例 (III群) に分類した.Epi後の定常状態では, mutation carrierのI群とII群でのみQTc延長を認めた.Epi前の心電図によるLQT1診断率は, 感受性 (浸透率) 59% (20/34) , 特異性100% (12/12) であったが, Epi後, 特異性は100%のままで, 感受性は91% (31/34) に向上した.以上より, Epinephrine負荷試験は, 遺伝子型の推定, およびLQT1患者では, 心電図による診断率の向上 (非浸透患者の検出) に有用と考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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