心電図
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発作性上室性頻拍におけるST低下の臨床的特徴とその発生機序
小野寺 威夫小林 義典井野 威新 博次加藤 貴雄高野 照夫
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2003 年 23 巻 3 号 p. 262-270

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抄録
[目的] 発作性上室性頻拍 (PSVT) における心電図ST低下の特徴とその成因について検討した. [方法] 対象はPSVT91例 (男51例, 女40例, 年齢47±16歳) で, 年齢と頻拍周期, およびST低下の程度 (ΣST) の関係を検討.また頻拍による心筋乳酸代謝の変化を, さらに9例ではタリウム (TI) シンチグラフィーを用いて頻拍時心筋灌流異常の有無を検討した. [結果] 1) ΣSTは頻拍周期と負の相関を示した.2) 同一頻拍周期帯 (350~400msec) でΣSTを比較すると, 高齢群では若年群に比し有意に大であった.3) 冠状静脈洞血の乳酸値は4/18例で上昇, 乳酸代謝率は2/8例で低下した.4) Tlシンチでは7/9例で頻拍停止直後 (初期像) に領域的欠損像を認め, 内高齢者5例を含む6例では後期像で血流再分布を認めた. [総括] 頻拍時心電図ST低下の程度は年齢により差が認められ, 高齢者ではその成因に心筋虚血が関与する可能性が示唆された.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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