心電図
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イソプロテレノール負荷にて顕在化した左房―房室結節間伝導路を逆行する房室結節リエントリー性頻拍でまれな誘発様式と特異な焼灼反応を呈した1症例
田中 一司石垣 清子山口 善央曾原 寛村上 正人高橋 佐枝子廣江 吉隆宮下 裕介田中 慎司齋藤 滋佐竹 修太郎渡部 良夫
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2003 年 23 巻 6 号 p. 621-630

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抄録
症例は, 器質的心疾患を有しない70歳の女性に認められた発作性上室性頻拍 (PSVT) で, まれな誘発様式と高周波アブレーション (ABL) に対する特異な反応を呈した.すなわち, 冠静脈洞 (CS) , 高位右房, ヒス束, 右室心尖部 (RV) に電極カテーテルを留置後行った心臓電気生理学的検査にて, イソプロテレノール (Isp) 負荷で顕在化したCS5-6電極上の心房電位を最早期とする室房伝導 (VAC) 路 (CSm-P) を逆行し, 房室結節 (AVN) ・ヒスプルキンエ系 (HPS) 伝導路 (AVN-P) を順行する周期380msのPSVT (AV/VA間隔>1) が, RVからの連続刺激 (周期400ms) のみで誘発された.その際, CS5-6上のVAC時間が徐々に延長し次いで徐々に短縮したことから, このPSVTは下位共通路がAVNに存在し左房自由壁にslow pathwayが結合するatypical AVNRTと判明した.ABLは, Isp点滴下RVからの連続刺激中に, 経動脈的に僧房弁直下でCS5-6近傍を焼灼した, 通電中, ABLカテーテルの遠位双極電極上の左房電位とCS5-6上の左房電位間の局所の伝導遅延をきたした後, VACの完全消失が得られたが, 翌日房室プロックに陥った.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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