抄録
心不全患者の心筋において過酸化脂質が増加しているか, さらにカルベジロール投与後に心筋における過酸化脂質のレベルが減少するかどうかを検討した, 拡張型心筋症患者と正常心機能者の心内膜生検組織において, 過酸化脂質の代謝産物である4-Hydroxy-2-nonenal (HNE) 修飾蛋白質を免疫染色にて検出した.拡張型心筋症患者全例の心筋においてHNE修飾蛋白質が増加していた, その増加は心筋の細胞質に多かった.さらにカルベジロール投与を行った後再び調べたところ, 心機能の改善とともに, HNE修飾蛋白質が有意に低下していた.以上の検討より, 活性酸素による酸化ストレスの発生が不全心筋において増強しており, カルベジロールによるその抑制が心不全治療の夕ーゲツトの1つになりうることが示唆された.