抄録
新しいIII群抗不整脈薬の心室性不整脈に対する薬効を臨床例で検討した.エントレイメント法を用いた検討から, ニフエカラントは心室頻拍のリエントリー回路内興奮間隙を狭小化して薬効を示すと考えられた.しかしソタロールの心室頻拍に対する薬効を, 無投薬状態のリエントリー回路内興奮間隙の大きさから予測することはできなかった.ソタロールのIII群抗不整脈薬としての不応期延長効果は, イソプロテレノール点滴静注によってもコントロール状態までに復することはなく, β受容体遮断効果を併せもつことの有益性が示された.ソタロールの逆頻度依存性活動電位幅延長特性を検討したところ, 心拍数150bpm程度までの逆頻度依存性活動電位幅延長特性は軽度であり, 頻拍時にもある程度の薬効が期待できると考えられた.ニフエカラントとソタロールの有効性は類似している場合があり, 皿群抗不整脈薬を静注から経口に切り替える際の参考になる,