心電図
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6.上室性不整脈に対するIKr遮断薬の可能性
高月 誠司加瀬 明子谷本 耕司郎副島 京子三田村 秀雄小川 聡
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2005 年 25 巻 1 号 p. 65-74

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抄録

本邦では上室性不整脈に対するIKr遮断薬の使用には保険適応がない, 欧米ではソタロール, イブチライド, ドブエチライドといったIKr遮断薬は上室性不整脈に対する治療において, すでに重要な位置を占めている.本邦で市場に出回っているIKr遮断薬は内服のソタロールと静注のニフエカラントであるが, これらの薬剤は心室筋のみならず心房筋に対しても逆頻度依存性に再分極や不応期を延長する効果が示されている.当院では, 上室性の頻脈性不整脈の停止目的で, ニフエカラントを静注投与した症例の35%に上室性不整脈の停止をみた.ソタロールに関しては心房粗細動の予防効果は定評がある, IKr遮断薬の副作用のTorsades de pointesは0~12%と報告されており, 使用に際しては十分に注意する必要があるが, 不応期延長による強力な抗不整脈作用をもち, 陰性変力作用がなく, 心不全や冠動脈疾患の症例にも使用できるという大きな利点がある.本邦でもIKr遮断薬が保険適応となることが期待される.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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