心電図
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拡張型心筋症様に移行した肥大型心筋症例に発症した持続性心室頻拍例の検討
鷲塚 隆池主 雅臣広野 崇杉浦 広隆小村 悟渡部 裕保坂 幸男太刀川 仁田邊 靖貴古嶋 博司藤田 聡岡村 和気和泉 大輔小玉 誠相澤 義房
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2005 年 25 巻 1 号 p. 87-93

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抄録

【背景】拡張相肥大型心筋症 (DHCM) に伴う持続性心室頻拍 (VT) 例の臨床象について検討を行い報告する.【対象】DHCMに伴う持続性心室性不整脈例5例 (平均年齢60±9歳, 男性5例) .DHCMの定義はHCMから進行性に左室駆出率50%未満に低下した症例とした.【結果】左室拡張終期径 (6.1±0.7cm) は拡大し, 左室駆出率は0.36±0.09と低下していた, 安静時心電図上の胸部誘導V50rV6での最大R波高は1.1±0.4mVと減高していた, いずれの症例もDHCMに移行後初めて持続性VTが記録された.臨床的には5例とも単形性持続性VTであり, 計7波形が認められたが, 心臓電気生理検査 (EPS) では3例で誘発されず, 誘発された2例では多形性VTが誘発された, 全例で植込み型除細動器 (ICD) 植込みを行い, うち3例では経過中, 単形性心室頻拍に対してICD作動を認めた.【結語】VTは, 拡張相に移行後初めて出現し, 全例単形性VT例であった.しかし, EPSでの評価が困難であることは通常のHCM例と類似し, 二次予防にはICD治療が第一選択と考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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