2006 年 26 巻 1 号 p. 4-10
ATP感受性K+ (KATP) チャネルは, 細胞内ATPで抑制され細胞内ADPで活性化される内向き整流性K+チャネルで, 心筋や血管平滑筋の虚血に対する反応に関与している.K+チャネル開口薬 (KCO) は, KATPチャネルを活性化して血管を弛緩させるので冠拡張薬として用いられている.心筋のKATPチャネルは, スルフオニルウレア受容体 (SUR) 2AとK+チャネルサブユニットKir6.2から, 血管平滑筋のKATPチャネルは, SUR2BとK+チャネルサブユニットKir6.1から構成される.SUR2AやSUR2Bは, 細胞内ATPやADPと結合する2つのヌクレオチド結合ドメイン (NBD) と, 1つのKCO受容体を有する.2つのNBDがダイマー化するとKATPチヤネルが開口する, KCOはNBDがダイマー化したSUR2AやSUR2Bに好んで結合し, この状態を安定化してチャネルの活性を高める.