心電図
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ピルジカイニド静注によるBrugada型心電図誘発試験―不完全右脚ブロック症例における検討
緒方 憲一新 博次篠田 暁与井上 博相澤 義房
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2006 年 26 巻 2 号 p. 153-161

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抄録

Brugada症候群の心電図所見が日内, 日差変動することを考慮すると, 不完全右脚ブロックの所見でST上昇のない症例のなかにもBrugada症候群が含まれる可能性がある.心電図で不完全右脚ブロックを呈する症例を対象として, Na+チャネル遮断薬静注によりBrugada型心電図 (coved型ST上昇) をみる頻度を多施設共同試験を行い調査した.不完全右脚ブロック81例にピルジカイニド静注試験を施行した結果, 23例 (28.4%) でcoved型ST上昇をきたし陽1生と判定した.静注前すでにsaddle-back型ST上昇を認めた27例では5例 (18.5%) が陽性と判定され, Brugada症候群の家族歴を有する10例では6例 (60%) が陽性となった.家族歴がなくST上昇をみない症例では, 45例中13例 (28.9%) が陽性と判定された.STは, 右側胸部誘導でJ点から0.08secで計測し, 2.0mV以上の上昇を陽性と判定したが, J点で計測した場合も同様な結果であった.以上より, 不完全右脚ブロック型心電図所見を呈する症例のなかには, 少なからずBrugada型心電図を呈する症例が存在することが明らかとなり, 今後, 心電図所見の説明に際し注意すべき点と考えられた.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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