抄録
循環器系薬物に対する応答性には大きな個人差がみられることが多い.この現象には多くの要因が関係するが, 薬物代謝酵素の遺伝多型も重要な要因の一つである.日常的に頻用される抗不整脈薬にもチトクロームP450 (CYP) など遺伝多型をもつ薬物代謝酵素の基質になる薬物は多く存在する, CYPの遺伝多型と抗不整脈薬の薬物応答性の個人差は通常, 有害反応発現のリスク増加として現れることが多い.CYPの遺伝多型と抗不整脈薬の副作用についてはフレカイニドやプロパフエノンの事例が有名である, 抗不整脈薬の応答性の個人差を薬物代謝酵素活性の個人差の観点から正しく理解するために, 本稿ではCYPの遺伝多型を抗不整脈薬との関点から総論的に述べることとする.