2007 年 27 巻 Suppl4 号 p. 58-63
Brugada症候群では心室遅延電位 (LP) 陽性を示すことが多い.ホルター心電図記録装置Spider View (ELA社製) の高解像度記録モードを用いると, ノイズの混入しない安静時に限り経時的にLPを記録することができる.この装置を用いてBrugada症候群患者における薬剤効果とLPの関係を調べた.
症例は30歳代の有症候性Brugada症候群の男性, 心室細動 (VF) に伴う痙攣, 意識障害があり, 2005年3月に当院で植込み型除細動器 (ICD) を植込んだ.経過中VFを繰り返し, ICD作動が頻回となったため薬物治療を開始.これまでの経過でデノパミンの有効性が確認されている.VFは必ず睡眠中未明ごろに記録される, 夕食後薬剤 (単剤にてデノパミン10mg, シロスタゾール100mg, キニジン200mg) を服用させSpider Viewを装着し翌朝まで記録した, LPは30分ごとに測定し, filtered QRS duration (F-QRS) , RMS last 40 msec (RMS) , Duration under40μV (LAS) を算出した.これらのなかからノイズが0.4μV未満の値のみを採用して解析した結果, デノパミン, シロスタゾールは有意にLPを小さくしたがキニジンでは不変であった.シロスタゾール内服下で頭痛を訴えたため, 現在もデノパミンの内服を継続している.