抄録
持続性のaccelerated idioventricular rhythm (AIVR) の3症例につき抗不整脈剤の作用を検討し, 以下の結果を得た。 (1) Atropineの静注により洞調律数を増すと, AIVRは3例とも消失した。 (2) Lidocaineの静注によりAIVRは3例とも数分間減少したが, それに続く点滴静注ではほとんど減少しなかった。 (3) 自覚症状を伴った1例でdisopyramideの経口投与を行ったところHolter心電図上AIVRの出現頻度は減少した。 (4) Verapamilを静注すると洞調律数の減少に伴いAIVRのみの調律となり, さらに1例ではAIVRから心室性頻拍を生じた。その原因としては, 血圧下降による反射性交感神経緊張またはverapamil自体の作用により, (1) Ectopic focusの自動能が亢進した, (2) Exit blockの程度が少なくなったか, またはEctopic focusから周囲の心室筋への伝導遅延が減少した, (3) Ectopic focusと近傍の心室筋の間でre-entryが形成されたなどの可能性が考えられた。