抄録
新たな抗狭心症薬Bepridilの電気生理学的作用を30羽の家兎Langendorff灌流心を用いてVerapamilと比較検討した。Bepridilは1×10-6M-2×10-6Mの濃度で, slow channelが主に関与すると考えられる心拍数, 房室結節内伝導 (AH時間) , および心収縮力に対してVerapami1と同様な抑制作用を示した。Bepridilの陰性変時作用および房室結節内伝導抑制作用は, Verapami1の約10分の1に, また陰性変力作用はVerapami1の約50分の1に相当する力価を示した。さらにBepridi1は1×10-6M-2×10-6Mの濃度で, fast channelが主に関与すると考えられる心室内伝導 (HV時間) および心室筋有効不応期を延長させた。Verapamilは8×10-7Mの濃度で心室内伝導に影響を及ぼさなかったが, 5×10-8Mの濃度で心室筋有効不応期を短縮させた。以上の結果よりBepridilには, Verapami1類似のslowchannel抑制効果があると同時にfastchannelに対しても抑制効果がある事が示唆された。