心電図
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ベクトル心電図による右室肥大診断に関する考察
―とくにQRS環右後方成分について―
大和田 憲司小野 和男宮崎 吉弘粟野 直行高畑 秀夫竹沢 将俊小松 正文佐藤 佳夫刈米 重夫
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1985 年 5 巻 1 号 p. 17-24

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抄録
右室負荷疾患93例のベクトル心電図 (VCG) を記録し, 心臓カテーテル検査所見および201T心筋スキャンによる右室壁描出の有無と比較し, VCGにおける右室肥大 (RVH) 所見の診断的有用性について検討すると共に, QRS環の右後方成分の意義についても解析を試みた。
VCGのRVH所見は46例 (49%) に認められた。右室負荷群60例中38例 (63%) がRVH所見を示したのに対し, 両室負荷群では33例中8例 (24%) がRVH所見を示したのみであった。RVH所見を有する例の80.5%は, 右室収縮期圧が35mmHg以上で, かつ85%は201T心筋スキャンで右室壁描出陽性であった。しかし, 右後方成分の増大するC型例の30~40%では, このような右室負荷所見は認められなかった。
VCGがA, B型を示す例では, 水平面図QRS環の右方成分と前方成分の面積の和が全体の70%以上あれば右室負荷と診断でき, C型例ではQRS環の右方成分と前方成分の面積の和が50%以上, 右後方ベクトルの大きさが1.2mV以上, かつその方向が-90°~-140°の範囲にある場合に右室負荷と判定することができた。
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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