心電図
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前壁梗塞における胸部誘導r波の再出現の有無と臨床諸因子との関係
宮本 正哉村上 暎二竹越 襄松井 忍藤田 静津川 博一伊藤 順
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1985 年 5 巻 4 号 p. 491-497

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抄録
前壁梗塞後の胸部誘導におけるr波の再出現の有無と臨床諸因子との関係について検討した。
純粋な初発前壁梗塞で心室内伝導障害を認めない33例を対象とした。発症後3ヵ月以内にV1~V3誘導において0.1mVを越えるr波の出現しなかった群〔R (―) 群〕は23例 (69.7%) , 3カ月以内に0.1mVを越えるr波がV1~V3誘導のいずれかに出現した群〔R (+) 群〕は10例 (30.3%) であった。
R (+) 群では喫煙者が有意に少なかった。また, Peak CRKは有意に低く, 心室瘤の所見も少ないことから梗塞巣はR (―) 群より小さいと考えられた。血行動態では急性期肺動脈拡張末期圧がR (+) 群で有意に低く, 回復期左室駆出率は有意に高かったことより一般に心機能はR (+) 群の方が良好と考えられた。冠動脈造影所見では有意差は認められなかったが, R (+) 群では3枝病変例が少ない傾向にあった。
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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