心電図
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冠動脈疾患における運動誘発R波高変化の臨床的意義
胡 小菁横田 充弘宮原 隆志上原 晋小出 正文都築 雅人外畑 巌
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1985 年 5 巻 4 号 p. 483-490

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抄録
健常成人 (NL) 20名および冠動脈疾患 (CAD) 患者52名を対象とした。多段階臥位自転車ergometer運動 (MBEX) に対するR波高変化を解析し, CADの診断あるいは重症度判定におけるその有用性について検討した。NL群とCAD群においてR波高は運動につれて減少し, 最大運動時に最も小さくなった。R波増高または不変を陽性とするBonorisらのR波高診断基準を用いたCAD診断の感度は21%であるが, ST基準による感度は65%であり, R波高基準はST基準に比し有意に低感度であった (p<0.05) 。R波高変化とCADの重症度の間に有意な相関は認められなかった。R波高変化とHRの変化との間には有意な負相関がみられた。
R波高変化は, 左室壁運動異常の程度, 冠動脈の罹患本数, 左室容積変化, 肺動脈楔入圧の変化, 心拍出量等と有意な相関を認めず, CADの診断あるいは重症度判定に有用な指標とは考えられない。
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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