抄録
慢性血液透析患者25例にホルター心電図検査を行い, 透析と期外収縮との関係を調べた。九例 (36%) に100個以上/24時間の期外収縮を認め, この頻発群は非頻発群と比べて年齢が有意に高かった。しかし他の臨床的背景・検査成績では両群間に有意差を認めなかった。期外収縮出現頻度は透析日と非透析日とで有意差を認めなかった。透析と期外収縮頻発時刻との関係をAICを用いた分散分析で解析すると, 上室性期外収縮出現頻度は透析前1時間及び透析後2-5時間に比べて, 透析中及び透析後1時間で有意に増した。心室性期外収縮出現頻度は透析前1時間で最も少なく, 透析中, 透析後と次第に増加し, 透析後2-5時間で最も多くなり, 上室性期外収縮と心室性期外収縮との頻発時刻に差を認めた。非透析日では上室性期外収縮, 心室性期外収縮とも有意な頻発時刻を認めなかった。この解析結果から, 透析が誘発したと考えられる両期外収縮の出現機序に差があると推測した。二回の透析日での期外収縮出現頻度の再現性は低かった。