心電図
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2チャンネル式ホルター心電計における3誘導心電図記録アダプターの試作と臨床応用
田辺 晃久吉川 広古屋 秀夫五島 雄一郎伊賀 富栄福士 広通
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1986 年 6 巻 5 号 p. 591-598

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抄録
ホルター心電図における虚血ST変化をより確実に捕捉するため, 2チャンネル式ホルター心電図法にて計3誘導記録可能なアダプターを試作し, 臨床に応用した.チャンネル1はV5-like lead (CM5誘導) とし, 同一心電図を24時間記録した.チャンネル2はこのアダプターを適用しV2-like lead (CM2誘導) とII oraVF-like lead (CM9誘導) を交互に記録可能とした.本アダプターの原理はoscillator, divider, inverterを利用し, 上向きパルスと下向きパルスを交互に30秒ずつ発信させ, それぞれCM2誘導とCM9誘導を同期させたものである.虚血性心臓病患者50名に応用し, 35名計90件の一過性虚血ST変化を認めたが, うち66件 (73%) は無症候性虚血ST変化であった.ST変化を認めた誘導はCM, 誘導24/35名 (69%) , CM2誘導9/35名 (26%) , CM9誘導18/35名 (51%) であった.異型狭心症は2名で, うち1名はCM2誘導ST上昇時CM, 誘導とCM5誘導はST下降, 他の1名はCM9誘導ST上昇時CM2誘導ST下降, CM5誘導ST変化なしであった.以上より, 本法はチャンネル数, 電極数を増加することなく3誘導心電図記録が可能で, とくに無症候性虚血ST変化や2誘導のみでは見逃しやすい異型狭心症の検出に有用と考えられた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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