心電図
Online ISSN : 1884-2437
Print ISSN : 0285-1660
ISSN-L : 0285-1660
III誘導のQ波の呼吸性変化
―体表面電位図による検討―
水谷 真規子林 博史松井 好美大杉 茂樹竹内 純
著者情報
ジャーナル フリー

1986 年 6 巻 5 号 p. 609-614

詳細
抄録
標準12誘導心電図III誘導で0.2mV以上のQ波が存在する非梗塞群18例, 下壁梗塞群18例を対象として安静呼気および深吸気時のIII誘導Q波 (QIII) の電位, 前額面平均電気軸, QRS40isointegral MAPを比較検討した.その結果, (1) 深吸気によりQIIIの電位は両群ともに有意に減少したが, 0.2mV以下になるものは非梗塞群に多く, QIIIの減少率は非梗塞群で有意に大きかった. (2) 前額面平均電気軸は両群とも深吸気で20~30°垂直位方向への偏位を示した. (3) QRS40isointegral MAPにおける安静呼気時の負領域は非梗塞群では右胸背部にのみ存在する例が多く, 下壁梗塞群では左胸部下方にまで拡がる例が多かった.深呼気時の負領域は非梗塞群ではより上方に, 下壁梗塞群ではより下方に移動する例が多かった.従って, QRS40isointegral MAPおよびQIII電位の呼吸性変化は, 梗塞の有無により差があり, これらは両者の鑑別に有力な手がかりになることが示唆された.
著者関連情報
© 一般社団法人日本不整脈心電学会
前の記事 次の記事
feedback
Top