心電図
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心室遅延電位ならびにentrainment現象を証明し, 心室頻拍の機序を推定しえたARVDの一例
小林 義典田中 隆飯田 恵子洪 基哲新 博次加藤 貴雄早川 弘一清野 精彦田中 啓治高野 照夫
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1988 年 8 巻 1 号 p. 87-98

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抄録
以下のごとき多数の興味ある電気生理学的所見を示したARVD例を経験した. (1) 右室流出路に明らかなdelayed potential (遅延電位) を認めた. (2) 心室期外刺激法にて, 連結期の短縮に伴い, 心室波と遅延電位の間隔が漸次延長し, 引き続いてVTが誘発された. (3) VT中, 右室流出路にていわゆるcontinuous local electrical activityを認めた. (4) 特に遅延電位記録部位を含む右室流出路にてVTのentrainment現象, およびinterruption現象が確認された.これらはすべて, 本例における不整脈の発生, 持続の機序としてreentryを強く示唆するが, かかる報告は国内外ともに類例を見ない.また平均加算心電図では明らかなlate potential (LP) が証明され, 抗不整脈剤 (disopyramide) 負荷後のLPの延長の程度が心内遅延電位における遅延電位の延長にほぼ一致していた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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