心電図
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臨床心電図におけるWilson中心電極の意義
杼木 秀高
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1988 年 8 巻 1 号 p. 77-85

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抄録
臨床心電図記録の基準点として用いられているWilsonの中心電極について, 水中遠隔部の基準電極および空気中において実現可能な, 多数電極の電位合成により新しく作成した平均電極と比較し, それぞれの電位差および心電図記録上の違いを検討した.健常者において水中の基準電極を用いた場合, 体表電位の低下および体表電位分布の変化を伴うので, 中心電極との比較が困難であった.一方, 空気中において体表各部の電位を合成した新しい平均電極は, 水中の基準電極に近似した電位点 (中心電極との電位差はpeak to peakで0.18~0.38mV, 平均0.26mV) であった.しかし, 新しい平均電極を用いた胸部誘導記録は, 基準点が変化したことにより誘導ベクトルも変化し, より広い範囲から心起電力を包括することになると考えられた.なお, 心筋梗塞例における新しい平均電極と中心電極の電位差は大きい値ではなかったが, 両者の胸部誘導記録には若干の差が認められた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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