心電図
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4. 体位モニター, 4誘導モニター法によるホルター心電図虚血ST変化検出精度の向上
田辺 晃久
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1988 年 8 巻 2 号 p. 165-172

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抄録

(1) ホルター心電図 (DCG) に体位信号を入力し, 体位ST下降と虚血ST下降の鑑別を行う, (2) 2チャンネルDCG計の一方のチャンネルの誘導を一定時間毎 (30秒) に切り替えるアダプターを試作し, 4誘導心電図 (4-lead Holter) を記録可能とし, そのST下降検出の信頼性を検討することを目的とした.目的 (1) は, 虚血性心臓病44名, 健常例22名を対象とした.その結果 (1) ST下降最大に至る時間1分内は体位ST下降20/28件, 虚血ST下降1/35件と前者が多かった (p<0.01) . (2) 体位ST下降ではST下降前後のQRST波形が12誘導心電図のV4, V5, V6のQRST波形のいずれかに類似して変化したものが24/28件と多く占めた. (3) ST下降時の心電図基線のゆれは体位ST下降18/28件, 虚血ST下降7/35件と前者に多かった (p<0.01) . (4) 心拍数増加率は虚血ST下降で高かったが有意ではなかった.目的 (2) では虚血性心臓病47名を対象にTreadmill負荷時のST下降を4-lead Holterと通常12誘導心電図 (12-lead) を同時記録で比較した.47名中46名 (98%) は4-lead Holterあるいは12-leadともに陽性あるいは陰性で一致した.4-lead Holterの各誘導と対応する12-leadの各誘導のST下降例数はCM5/V5: 32/28, CM5/V4: 14/14, CM5/V5: 3/4, CMf/IHII-5V5: 17/17名でCM5誘導は過感受性であった.以上より (1) DCGにおける体位ST下降と虚血ST下降の鑑別点4点が明らかにされた. (2) 我々の4-lead Holter法はST下降検出において12-lead法とほぼ同等の精度であった.

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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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