心電図
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ホルター心電図による無痛性心筋虚血の評価
―運動負荷T1-201心筋SPECT同時施行例の検討―
中居 賢司平野 三千代伊藤 忠一松下 一夫宮川 朋久加藤 政孝高橋 恒男
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1988 年 8 巻 6 号 p. 763-771

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抄録
冠状動脈疾患を対象に運動負荷タリウム心筋SPECT (Ex Tl SPECT) 施行と同時にホルター心電計を装着し, 再分布の確認された症例において無痛性ST偏位を評価する際の問題点について検討した.結果: (1) CC5, m-II誘導によるEx Tl SPECTの再分布領域推定には特異的関連はなかった. (2) 再分布の確認された例のST変化は水平型およびストレイン型で2mm以上の最大ST偏位を有し, STトレンドは数分単位の漸増漸減パターンを呈した. (2) ST偏位は胸痛の発生に先行した. (3) 無痛性および有痛性心筋虚血のST, HRトレンドパターンには明らかな差はなかった. (4) 無痛性心筋虚血は22% (7/32例) に見られた. (5) 長時間記録心電図において心筋虚血時に心拍増加 (>10/min) を伴わない例もあり, 心筋虚血の発生機序を考えるうえで興味深い.無痛性心筋虚血を評価する際, 虚血性ST偏位および“胸痛”の判定には一定の規準項目を設定すべきであろう.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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