心電図
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7. ペースメーカー植込例でのT波異常
今井 健介傅 隆泰
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1989 年 9 巻 1 号 p. 59-65

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抄録
ペースメーカー植込術後例における自己心拍T波の異常 (post-pacing T wave change) の成因について, 心電図・体表面心臓電位図および201TI myocardial SPECTから検討した.ペーシング開始直後のQRST-isoarea mapは正常対照群に近い像であったが, 長期ペーシング下のmap像には顕著な異常を来し, 胸背下部に広く陰性領域が分布した.この異常なmap像はペーシング中断後にも存続しており, 心電図上II・III・aVF・前胸部誘導の一部に陰性T波 (post-pacing T wave) が認められた.これらにおいて長期ペーシング中のSPECTを施行すると後部中隔から後下壁・心尖部に血流低下所見が認められ, ペーシング中断2時間後にも同様の所見が見られた.以上より, 長期心室ペーシング下には主に後下壁領域において興奮時間の延長ならびに局所心筋血流障害を来す一次性因子, すなわち虚血の存在が示唆され, これがpost-pacing T wave changeの一因となるものと思われた.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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