心電図
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8. 抗不整脈薬投与と完全房室ブロックにおけるTorsades de Pointes
松久 茂久雄栗田 隆志大江 透下村 克朗
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1989 年 9 巻 1 号 p. 67-74

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抄録
Ia群抗不整脈薬投与例15例, 完全房室ブロック11例にTorsades de Pointes (TdP) を認め, それぞれの対照群と対比しTdP発生の因子, 治療法について検討した.
抗不整脈薬投与群ではTdPは女性, 低K+血症, 投与前からQT延長のある例に多くみられた.TdP発生直前のQTcは0.63±0.06と著明に延長し, 心拍数は58.5±11.4/分と有意に低下した.投与前後のQTcの差 (△QTc) はTdP例で大であった.薬剤血中濃度は治療域以下の例が多く, QTの延長は薬剤の過剰投与ではなく過剰反応が示唆された.薬剤開始からTdP発生までにはばらつきがあり, 増悪因子の重なりでTdPが生じる可能性が考えられた.
完全房室ブロック群ではTdPはQT延長例, 高齢者, 低Ca2+血症のある例に多くみられた.心拍数, QRS幅はTdP発生に無関係であり, 徐脈の程度, 補充収縮の部位の関与はみられなかった.
治療は両群とも右室ペーシングが最も安全で有効であった.
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© 一般社団法人日本不整脈心電学会
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