物理実験等では,用いる装置の構成要素や物理過程がブラックボックス化しやすい.これが実験の重要ポイントの理解を妨げ,いわゆる消化不良現象につながることがある.加速器教育実験は,用いるシステムが複雑で,多様な物理過程が関与する内容のため,よりその状況に陥りやすい.この実験の実施にあたって,以下のようなブラックボックス最少化のための諸施策を試み,極めて有効であった:予備レポート提出,レポート提出時の質疑応答,豊富な視覚情報の提供(加速器見学,テキスト中の実験装置の豊富なカラー写真,運転中のビーム形状のCCDカメラ映像),加速ビーム操作実習の重視,小型高圧回路(コッククロフト回路)製作と特性測定.特に殆ど自主的に予習をすることのない現代の学生にたいし,それを適切に促すことと質疑応答が極めて重要であった.