教育医学
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正弦波形と疑似ランダム波形を用いた筋力発揮調整能測定値の 年代差および個人差
Yoshinori NAGASAWA出村 慎一
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2007 年 53 巻 2 号 p. 175-183

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抄録

 本研究の目的は,正弦波形と疑似ランダム波形による筋力発揮調整能(Controlled Force Exertion:CFE)の年代差および個人差を明らかにすることであった.20〜86歳の右利きの成人男性180名(Age 45.8±18.6 yrs)は,パソコンのディスプレイ上に出現する正弦波形と疑似ランダム波形表示を用いて変動要求値に最大下の握力発揮値を一致させた.疑似ランダム波形は振幅π,周期π/2毎に変動する形式であった(ピークおよび平均周波数は両表示法とも0.1Hz).被験者は,両CFEテストを練習1試行後,1分の休憩を挟み,利手を用いて3試行行った(1試行は40秒間).測定順序はランダムに割り当てた.テストの評価変量として,25秒間の要求値と筋力発揮値とのズレの総和を用いた.測定値は正弦波形および疑似ランダム波形とも,年代が増加する毎に一定の増加傾向を示した.有意な直線回帰が確認された(r2SW=0.83, r2RW=0.89)が,両者の増加率に有意差はなかった.分散分析の結果,70歳以上を除き正弦波形と疑似ランダム波形の平均値間に有意差が認められず,両者とも50歳代以降と20歳代との間の平均値の差が拡大した.個人差も両表示法間でほぼ同程度であった(CVSW=24.1〜42.1, CVRW=22.9〜41.8).正弦波形および疑似ランダム波形ともにCFEテストの成績は年代の増加と共に同様な低下傾向を示し,50歳代以降は低下度が著しい.加齢に伴う個人差の変動も正弦波形と疑似ランダム波形でほぼ同程度である.  本研究は,独立行政法人日本学術振興会科学研究費補助金若手研究(B)(課題番号13780048および17700476)の助成を受けて行った研究成果の一部である.

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2007 日本教育医学会
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