抄録
本研究の目的は,1985年以降に高等専門学校に入学した3年男子の体力の推移を検討することであった.各年代の3年男子3,241名に,体格テスト(4項目)および文部科学省の体力・運動能力テスト(12項目)を実施した.全ての測定を実施した2,611名(80.6%)のデータが分析に利用された.20年間の経年変化を検討するため,回帰分析および,前半期(1985〜1989年)と後半期(2000〜2004年)の平均値差の分析(t-検定)が行われた.
前半と後半の両群間に体格(長育および量育)には大きな差は認められなかったが,肥満傾向学生の割合は後半期の方が有意に多かった.筋力,瞬発力,柔軟性,筋持久力,および全身持久力(敏捷性を除く体力全般)が年代の進行とともに劣る傾向にあった.高等専門学校男子学生は肥満傾向の抑制や体力増強を図ることが必要と考えられる.