身体的・精神的に発育・発達途上にある子供たちは,自分の生活をどう考え,どのように捉えているのか.また彼等の日常生活の中で何が心の支えとなり,満足感,充実感をもたらしているのか,QOLという概念から気管支喘息児と健常児との比較を試みた. 方法は,アンケート方式を用い健常児および喘息児の日常生活における身体的・精神的・社会的側面と喘息児に対して喘息疾患に関する調査項目を設定した. 調査対象は健常男児73名,女児104名,合計177名,喘息男児37名,女児29名,合計66名である. 結果,健常児では,男女共に第1因子として“学校体育”,“運動”,“スポーツ”等が挙げられ,喘息児では“学校体育”,“遊びに出かける”に加え,“友人関係”,“得意なもの”等,社会的な面や精神的な面が第1因子に挙げられている.しかも,運動する機会や回数については,有意に健常児が多く,喘息児との間に差が認められる. 社会的領域の友人関係では,“友人からの信頼”や“友人の数”について,健常児に対し喘息児は不安を抱いている.また心理的・精神的領域では,特に喘息児に“習癖”が悩みの一つになっている. 喘息疾患による“発作”,“通院”や“不快感”等により精神的に落ち着かない状態や,常に“薬の携帯”や“禁忌食”などが,日常生活に大きな負荷としてのしかかり,何事にも思い切り取り組むことのできない残念さが喘息児の日常生活でのQOLを左右している.