本研究は,間欠的筋持久力評価における指示条件の影響を明らかにするため,筋電図を用いて各条件での筋出力と筋放電量(EMG)の関係について比較検討することを目的とした.青年男子12名が,1)指示音と同時に素早く最大握力を発揮する(Ex1).2)指示音と同時に素早く最大握力を発揮し,1秒間持続する(Ex2)の2条件で2秒間の間欠的最大握力発揮を6分間(180回)行なった.両条件での筋持久力測定中にEMGが記録された. 最大筋力発揮時のEMGの最大振幅に対する各試行の筋放電量の相対値(%EMG)は,Ex1では前半に比べ中盤および後半で有意に低値を示したが,Ex2では時間経過に伴う変化は認められなかった.各試行の最大発揮筋力を基準とする相対値(%Peak)および力積はEx1およびEx2とも時間経過に伴い有意に低下した.中盤以降,Ex2の%PeakはEx1に比べ有意に低値を示した.%EMGはEx1の前半においてのみ力積と有意な関係(r=0.60)を示した. Ex1の測定前半では発揮値はEMGを反映するが,Ex2では全時間帯を通して,EMGを反映しないことから,測定の条件設定が異なる場合,評価される筋持久力は異なることが示唆された.