抄録
日本の障害者スポーツ施設には障害者専用型と共用型の2つのタイプがある.本研究の目的は,タイプが異なる2つの施設に着目し,利用者のサービス品質の評価の観点から,利用満足に影響を及ぼす要因を明らかにすることであった.障害者専用型(大阪)と共用型(神戸)の個人利用者を対象に質問紙調査を行った.内容は,SERVQUALモデルとユニバーサルデザインの原則を応用したサービス品質に関する33項目と利用満足1項目である.回答は105人より得た(障害者専用型n=69,共用型n=36).サービス品質の33項目は施設別に因子分析(主因子法,ノーマルバリマックス回転)を行い,それぞれに得られた因子得点を用いて,重回帰分析(ステップワイズ法)を施して,利用満足への影響要因を検討した.その結果,以下のような示唆を得た.1)触知性次元は、共用型では1因子に集約し、専用型では情報、物的環境、人的要因の3因子に分散した.2)共用型のサービスは専用型よりも集約されている.そのため,利用者のインストラクターに対する評価が高い.3)共用型の利用満足には触知性のみが影響する.4)専用型施設は共用型施設よりも詳細なサービスを提供しようとする.5)専用型施設利用者の利用満足には共感性と情報が影響する.