日本環境感染学会誌
Online ISSN : 1883-2407
Print ISSN : 1882-532X
ISSN-L : 1882-532X
原著論文
NICUにおける抗菌薬サイクリング療法の効果
坂田 宏小原 郁司
著者情報
ジャーナル フリー

2008 年 23 巻 2 号 p. 111-116

詳細
抄録
  当院NICUで増加傾向にあったcefotaxime (CTX)耐性のグラム陰性桿菌を抑制するために,細菌感染症が疑われた際に使用する抗菌薬を3か月毎に変更するサイクリングを実施し,その効果を評価した.その結果,CTXに感受性が低い株が認められていたAcinetobacter baumanniiEnterobacter cloacaeについて,2003年12月から2004年5月に検出された株と2007年3月から2007年5月に検出された株におけるCTXに対する感受株の比率を比較した.A. baumanniiではCTX感受性株は40.8%から12.5%,E. cloacaeでは60.0%から0%に有意に低下した.検討期間中に,Extended subsitute β-lactamase (ESBL)産生Klebsiella oxytocaが検出されるようになった.抗菌薬をサイクリングすることによって,CTXに感受性を有した菌が増加した.しかし,実際の感染症の発症率には大きな変化を認めなかった.
著者関連情報
© 2008 一般社団法人 日本環境感染学会
前の記事 次の記事
feedback
Top