抄録
当院NICUで増加傾向にあったcefotaxime (CTX)耐性のグラム陰性桿菌を抑制するために,細菌感染症が疑われた際に使用する抗菌薬を3か月毎に変更するサイクリングを実施し,その効果を評価した.その結果,CTXに感受性が低い株が認められていたAcinetobacter baumanniiとEnterobacter cloacaeについて,2003年12月から2004年5月に検出された株と2007年3月から2007年5月に検出された株におけるCTXに対する感受株の比率を比較した.A. baumanniiではCTX感受性株は40.8%から12.5%,E. cloacaeでは60.0%から0%に有意に低下した.検討期間中に,Extended subsitute β-lactamase (ESBL)産生Klebsiella oxytocaが検出されるようになった.抗菌薬をサイクリングすることによって,CTXに感受性を有した菌が増加した.しかし,実際の感染症の発症率には大きな変化を認めなかった.