2008 年 23 巻 5 号 p. 327-331
2004年3月当院のX病棟入院中の患者よりVanB型のvancomycin-resistant E. faeciumが検出され,その後8月までに計6名から分離された.3名はそれより以前に分離された腸球菌が,誤ってVanC型疑いvancomycin-resistant E. casseliflavusと報告され,感染対策がなされていなかった.PFGE法による分子疫学的解析により,6名から分離されたVREはほぼ同一起源と考えられ,院内伝播が示唆された.VREが検出された患者は,全例女性でADLは良好,大部屋入室歴があり共用の洋式トイレを使用していた.保菌者との同室歴がないものがいたことから,トイレを介する伝播も原因の一つと考えられた.接触予防策,トイレ環境の整備,手指衛生の徹底などで,院内伝播は収束した.