日本環境感染学会誌
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報告
日本環境感染学会教育ツールを活用した職員教育
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2008 年 23 巻 5 号 p. 371-374

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抄録

  院内感染の教育は,全般に渡り系統的に学習することが望まれるが,自施設で実施することは教材や講師に限界がある.当院では日本環境感染学会教育ツールJSEI Ver. 1 (以下Ver. 1)を月1回の年間10回コースに編集し,ICTメンバーが講師となって2006年度に院内研修会を開催した.
  全職員432名中185名(42.8%)が参加を希望した.全体を通して各研修会あたり平均124名の参加が得られ,年間を通した個々の参加状況は8回以上が登録者中の45%を占めた.6割以上の出席をもって,希望者にはICT作成の資格試験を実施し,110名に対して修了証を授与した.
  本研修会の教育効果を検討する目的で,Ver. 1に付随している17問の「Q&A」を活用した同じ試験を無記名で実施した.既設の「YES・NO」以外に,「わからない」という選択肢を新設し,さらに「NO」を選択した場合にはその理由を記載させ,適切な場合のみ正解とする「真の正解」を指標として用いた.「真の正解数」は研修会前後で,17点中4.17±2.38点から9.47±2.38点に有意に増加し(p<0.01),さらに10点以上の得点者は1人から56人に著増した.
  Ver. 1を用いた研修会は精神科病院でも開催可能であり,系統的な教育が,既存のスライドを利用して,自施設で比較的容易に行うことが可能である.教育効果も高く,多くの職員に対して効率的に行える教育法と考えられた.

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© 2008 一般社団法人 日本環境感染学会
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